2008年10月19日日曜日

第4回 10/24 (金) 16:00~ 総合研究棟 A205会議室

「マルハナバチの空間採餌パターン:個体ごとに、どんな株を訪れるのか?」
共存生物学研究室 学振PD 牧野 崇司

植物の送受粉の成否は送粉者の行動にかかっている。これまで多くの研究が、植物株に対する送粉者の訪問頻度などを調べてきたが、送粉者の「個体」に着目することはあまりなかった。しかし、マルハナバチなどの送粉者はしばしば個体ごとに独自の採餌域を持つことから、花粉を運ぶ先が異なるなど、送受粉への影響が個体間で異なる可能性が示唆されている。したがって、花粉の移動に関する理解を進めるには、送粉者が個体ごとに植物集団中のどんな株を選ぶのか、そのルールの解明が不可欠である。本発表では、500個体以上のハチを識別して行った野外観察や、個体間相互作用に着目して行った大規模網室での 実験、花序の誘引機能を見た目と報酬量に分けて調べた人工花実験について紹 介し、「個体ごとにどんな株を選ぶのか?」に迫っていく。



精子競争のリスクに対応した雄の戦略的な射精物質生産
保全生物学研究室 M1佐々木那由太

チョウ類の雄は交尾時に精子とともに精包と呼ばれる物質を雌に注入する。一般に、雄は1回の交尾で注入する精子の数が多いほど精子競争において有利であると言われており、雄の注入する精包が大きいほど雌の再交尾を遅延することが明らかにされている。したがって、精子競争が起こる可能性の高い種の雄ほど毎回の交尾で大きな精包と多数の精子を雌へ注入していると考えられた。そこで、雌複婚制のナミアゲハと単婚制のキアゲハを用い、室内飼育し羽化させたそれぞれの種の雄に羽化翌日に1回目の交尾させ、その1~5日後に2回目の交尾させ、直後に雌雄を解剖し精子数と精包重量を比較した。初回交尾において、精包の生産速度に種間で差は見られず、有核精子束の生産速度ではキアゲハの方がナミアゲハよりも高かった。2回目の交尾でも同様にキアゲハの有核精子束の生産速度が高かったが、しかし、注入する精包はナミアゲハの方がキアゲハより大きかった。したがって、雌が複婚制の種の雄は精子の生産よりも精包の生産を優先して行なっている可能性が示唆された。

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