2008年6月9日月曜日

第1回 05/20 (火) 生農棟F607 16:00~

霞ヶ浦における在来タナゴ類への生息環境と外来種タイリクバラタナゴの影響
地域資源保全学研究室 D1 諸澤崇裕

タナゴ類はコイ科タナゴ亜科に属する淡水魚である。イシガイ科の二枚貝に産卵するという特殊な繁殖生態を持つため、産卵母貝の選択性や繁殖行動などの研究が多く行われてきた。一方で、14在来種・亜種中13種・亜種が環境省のレッドリストに掲載されており、保全の必要性が極めて高い分類群である。本研究の調査地である霞ヶ浦ではアカヒレタビラ、タナゴ、ヤリタナゴ、ゼニタナゴの在来4種とカネヒラ、タイリクバラタナゴ、オオタナゴの外来3種のタナゴ類が生息している。現在はタイリクバラタナゴが圧倒的に優占している一方で、在来種ではゼニタナゴが絶滅状態であり、残りの3種も生息数が少ないと言われている。本研究では、タナゴ類の分布や個体数に影響を与えている要因の解明を目的として、野外での魚類採捕と環境要因の測定を行った。
2005年に126地点において8~10月に2回、ビンドウを用いた魚類採捕と流速、水辺の形状、電気伝導度などの環境要因の測定をした。GLMMを用いて解析した結果、在来種3種とタイリクバラタナゴの間には正の相関が認められたため、分布においては在来種とタイリクバラタナゴの間に競争排他的な関係は認められなかった。環境との関係においては、在来種は富栄養化の指標である電気伝導度と負の相関を示し、さらに、3面コンクリート水路を避ける傾向があった。一方で、タイリクバラタナゴは電気伝導度と正の相関を示し、3面コンクリート水路も好む傾向が認められた。富栄養化やコンクリート水路化といった生息環境の悪化の影響は在来種と外来種で対照的な傾向を示し、在来種は生息環境の悪化により負の影響を受けるが、タイリクバラタナゴは生息環境の悪化に対する耐性を持つことが示唆された。以上のことから、現在タイリクバラタナゴが優占している要因の一つは、タイリクバラタナゴが生息環境悪化に対する耐性を持つことであると考えられた。



他個体の存在を情報として利用するマルハナバチの採餌行動
川口利奈 生命共存科学専攻

多くの動物にとって、餌の質や獲得しやすさは大きく変動し、その予測は困難である。したがって、利用可能な餌を効率的に発見する能力は、しばしば個体の適応度を大きく左右する。私はこれまで、長続きしない花資源を利用するマルハナバチを材料に、他の採餌個体の存在を情報として利用する行動が、彼らの餌探しに役立っているかという課題に取り組んできた。鳥類や哺乳類を中心とした脊椎動物については、他個体の「真似」をすることによって、餌の発見効率が向上する事例が古くから知られてきた。これに対し昆虫については、ミツバチの8の字ダンスのような積極的な情報伝達がなければ、他個体の存在や行動を情報として利用することはできないだろうと考えられてきた。ところが最近の研究によって、昆虫も他個体が意図せずに発する情報を自らの意思決定に利用する能力を持つことが明らかになってきている。簡易な操作で大きな標本サイズを得ることのできる昆虫を用いることで、動物の採餌における情報利用戦略の実証研究が大幅に進展すると期待される。そこで私はまず、採餌経験を持たないマルハナバチが餌場の同種個体に追従することで餌の発見効率を上げられることを、室内実験によって定量的に示した。次に私は、他個体に追従することで得られる利益が、餌についての知識の有無や、他個体が自分と同種であるか否かなどの状況のちがいによって変化する可能性に着目した。そして、野外で採餌しているマルハナバチが、自分の知っている花を訪れるときには同種を避け、知らない花を訪れるときには同種に追従することや、知らない花を訪れるときでも他種のマルハナバチを避けることなど、実際に餌場の他個体に対する反応を柔軟に切り替えられるということを明らかにした。本セミナーでは、私の研究紹介をとおし、動物が餌探索において他個体から得られる情報をいかに有効利用しているのかについて、その一端を示したい。

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